強行の新婚旅行

回顧録、続き。

カッサンは、結婚して2年間出向し、3年目は丸一年在宅で、仕事をしました。
冬彦さんは、3年間出向。

あ、まだ、生活面のゴタゴタに目をつむれば、ラブラブな夫婦でしたよ。
(はい、過去形。)

ただ、私の中には、何も決断しなければ、このままずっと同じことの繰り返しであるという恐怖を感じるようには、なっていました。

何事においても、私が事を起こさなければ、何も起きない。
不慮に何か起きてしまった時は、私が動かなければ解決しない。

今ほど明確に、自覚していたわけではありませんが、薄っすらと気づき始めていました。
でも、希望を胸に、冬彦さんは、必ず成長すると信じていました。

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目次

今を逃して良いものか?

3年目の終わりに、私の在宅の仕事の切れ目と、冬彦さんの出向の契約の切れ目が重なりました。
2人同時に仕事が切れるタイミングは、それまでありませんでした。

長期休みを取りたい場合、在宅なら、仕事の調整は出来ますが、出向だとそうはいきません。
社員と同じように出勤しないといけませんが、社員のようにお休みの権利はありませんから。
契約期間内は、職場のカレンダー通りに出勤しなければ、ならないのです。

カッサンは悩みます。
子供を持つなら、年齢的にも、そろそろ本気で考えていかないといけない時期にさしかかり、その前に、新婚旅行に行っておきたい!

子供の事ならまだしも、新婚旅行に関しては、本気で動かないと、なし崩し的になくなってしまうのでは?
冬彦さんが、連れて行ってくれるわけないっ!(←既に、こういうキャラ定着)

あーでもない、こーでもないと考えているうちに、カッサンの中で、やる気スイッチがONになり始めます。

私は、海外に行ったことがありませんでした。
ですから、新婚旅行は、海外と決めていました。

そして、
結婚したら、年1は無理でも、数年に1回は海外に連れて行ってくれる(稼ぎの)人と結婚したなぁ。
と、夢見ていました。

ま、
夢は夢だな(とほほ…)。
と、冬彦さんと生活してみて、早々に諦めたのですが、さすがに新婚旅行は譲れません。

また、私が海外旅行に出来るだけ早くいきたい理由が、もう一つありました。

当時、イギリスのケンブリッジ大学に友人が在籍していました。
日本に短期留学に来ていた時に知り合い、
「こちらにも来てね。案内するから。」
と別れました。

その友人が、大学を卒業するまで、あと半年と迫っていたのです。
ケンブリッジに在籍している間に、なんとしても尋ねたかった。

…と、絵画とヨーロッパの歴史小説が好きだったので、実物をぜひ見たい。
死ぬまでに、ルーブル美術館に行って、モナ・リザ見たい!
ベルサイユ宮殿を歩きたい!

そんな、ベタベタな夢も持っていました。

決意さえすれば、休みは取れる。
あとは、お金と勇気。さぁ、どうする?です。

立場が人を育てるはず!の、見切り発車

仕事の切れ目で旅行に出るという事は、2人で1カ月、無職になるという事です。
運が良ければ、中途半端な時期から始まる仕事が見つかるかもしれませんが、その可能性は低いからです。

私が準備しなければいけないのは、
1か月分の収入×2人分
旅費
でした。

冬彦さんの2回の無職以降、やっと貯めた貯金を、またしても使い切る勢いです。

どうしても行きたい気持ちを抑えられない、まだ若くて青いカッサンさんは、思いました。

お金は、働けば手にすることは出来るけど、絶好の機会がなければ、海外旅行なんていけない。
友達、卒業しちゃうよ?
今しかできないプライスレスな経験を、逃していいのか?
良い経験が、冬彦さんに、適度な欲や、責任感を与えるのでは?

と。

決断した私は、大体の予定を立てます。
某年の3月半ばに差し掛かったところでした。

仕事の切れるのは3月末。
4月は丸々休業。
4月上旬に旅行に出かけ、4月中旬~下旬は職探し。
5月は仕事

残りの仕事をさばきながら、旅行会社へ足を運びました。

友人に会いたいし、スコーン大好きなので、イギリスは必須。
でも、やっぱりフランスにも行きたい。
都合の良いツアー、あるだろうか…。

結果、ありませんでした。
そりゃ、3月半ばで、4月上旬発の、自分好みのツアーに、都合よく空きがあるわけないですよね(汗)

ひとたびスイッチが入れば、諦めの悪い私は、飛行機とホテルのみ押さえ、自分でツアー組むことにしました。

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ハードスケジュールながらも、大満足の旅行

持ち前の計画力(←好きな事にしか発揮されませんが…)で、学校の修学旅行並みに、細かいスケジュールを立てます。
当日の移動ルートも、海外のあてにならない交通機関を考慮して、複数ルート調べて、万事OK
観光スポットのフリーチケットなども、事前に購入しておきます。

冬彦さんはと言うと、私が旅行に行くと言えば行くし、行かないと言えば行かない人なので、ひたすら、私の指示に従って、準備を手伝ってくれました。
今考えれば、受動型炸裂ですね。

パリに数泊、美術館とマリーアントワネット縁の地を満喫し、イギリスへ。
イギリスでは、まずロンドンに泊まり、友人おすすめの町の散策、ミュージカル鑑賞。
その後、ケンブリッジに移動して、友人お勧めのB&Bに宿泊。
またロンドンに戻って、最終日だけちょっとお高いホテルにとまって、ちょっとお高いアフタヌーンティーを頂きました。

少々驚いたり、イラっとすることはあれど、大きなトラブルもなく、大満足のうちに旅行は終了しました。

帰りの飛行機では、私も冬彦さんも、
また、行きたいなぁ。
の気持ちでいっぱいでした。

スキー目的でカナダに行った前妻さんとの新婚旅行とは、全く趣の違う旅行に、冬彦さんも大満足でした(苦笑)
(←本人が、そう言ってた。)

旅行中、私以上に色々なものに喜んでいる冬彦さんを見ていると、ちょっとひきましたし、不審な男2人に前後から挟まれて、思いっきりポケットを探られている冬彦さんが、フリーズしているのに、ほとほと呆れましたが(カッサンが男たちを追い払いました)、

「自分で計画したら、絶対行かない場所に連れて行ってくれてありがとう。」
と言われた時は、
決断して良かった。大枚はたいた甲斐があった!
と、感無量。

仕事もうまく見つかり、新婚旅行大作戦は、大成功のうちに幕を閉じたのでありました。

この経験は、冬彦さんを変えるはず。
(また行きたければ、頭使って稼がないとね。)
と、私は目標を一つ達成した気分になりました。

後々、後悔の一つになるとも知らずに…。

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